「海部の樵木林業」が県内初となる「林業遺産」に登録!

公開日 2018年07月06日

海部郡に古くから伝わる「樵木林業(こりきりんぎょう)」が、一般社団法人日本森林学会が選定する2017年度林業遺産として平成30年5月29日に登録されました。

 

1 所在

古くから薪木は「ボサ」「ホダギ」「タマギ」「コリキ」等と呼ばれ,その生産方法は上灘(旧由岐・日和佐・牟岐町)と下灘(旧海南・海部・宍喰町)で異なり,下灘地方では皆伐が,上灘では択伐が行われてきた。特に,日和佐川流域,牟岐町の牟岐川流域,及び両町沿海部の常緑広葉樹林帯の約12,000haの地域で行われた択伐施業が樵木林業と呼ばれる。

 

2 歴史

寛文11年(1671)の文書に,海部川筋諸材木又は樵木流木中のものを搾取した場合の処罰を定めた記載があり,このことから樵木林業は,300有余年の歴史があるといわれている。生産された薪は,沿岸の港から船舶で直接,大阪,堺,岸和田,西宮,和歌山等の需要地へ輸送された。燃料革命以前の昭和40年代頃までは,農閑期の副業的な仕事として,農家の生活,経営,地域経済に大きく貢献した。

 

3 更新方法

樵木林業は,「択伐矮林更新法」と呼ばれる常緑広葉樹(カシ,シイ,ウバメガシ,ツバキ等)の非皆伐施業である。胸高直径1寸(3cm)以上の林木を伐採し,1寸未満のものを残し,萌芽更新させる。択伐率は材積換算で70~80%,本数で40~50%,回帰年は通常8~12年である。また,矮林として低木に仕立てる施業は,台風常襲地において風倒木による森林破壊,裸地化を避けることにもつながっている。

 

4 搬出方法

伐採には古くは斧(チョウナ),鉈(柄鎌),手鋸を用いた。斜面下方から伐り始め,作業地凹部に幅3m程の皆伐帯(サデ)を作る。45度の角度で上方に幅1~1.5mの皆伐帯(ヤリ)を3m程の間隔で魚骨状に作り,これを搬出路とし,ヤリとヤリの間を択伐する。

車道が整備されていない時代は,集積した原木を木馬で山木場まで運搬し,管流(くだながし)により河口まで搬出した。日和佐川,牟岐川及びその支流は水運に適しており,樵木材のような短小材は渓流でも容易に流すことができた。

 

5 展望

 経営放棄された森林が増え,鳥獣被害やナラ枯れ等が拡大しつつある。森林の持続性や地表の裸地化防止,遺伝資源の多様性保護など,樵木林業は,現代において改めて注目されるべき施業である。

 

樵木林業の更新方法 樵木林業の作業方法

 

・林業遺産とは、

 

日本森林学会が平成25年度に100周年記念事業として創設し、将来にわたって記憶・記録される林業技術等として選定しているもので、これまでに「木曾森林鉄道」や「吉野林業」など23件が登録されています。

 

 今回は、「海部の樵木林業」のほか、京都の北山林業など8件が新たに登録されました。

 

 

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