姫神伝説

公開日 2012年02月01日

牟岐町に伝わる昔話 姫神伝説  

 

 

昔、土佐の国のある豪族に美しい姫がおりました。年頃の娘には将来を約束した男があり、二人の仲は大変睦まじく、郷中の評判でした。

 

しかし男は非常に才能豊かな人間で、みかどに召されて京にのぼることになったのです。二人は再会を固く誓い合って別れました。

 

月日は流れ、任期の二年を終えてもどうしたことか男は帰ってきません。待ち焦がれていた姫は不安で居ても立ってもいられなくなり、遂に京に行く決心をしました。

 

浪速に向かう民船のなかで恋人への思いを馳せる姫・・・。はじめは無事な航海でしたがやがて海は時化模様となり、かろうじて大島の港に避難して天候の回復を待ちました。

 

しかしどういうわけか時化はいっこうに回復しません。

 

そのとき、一人の男が「コリャ、女を乗せとるサカイ、海神さまの祟りじゃ」と言い、船頭たちも同調して泣き崩れる姫を一人島に残したまま出港してしまいました。

 

とり残された姫は悲しみに打ちひしがれ、やがて恋人の名を呼びながら、港の入り江に身を投げました。するとどうでしょう、そこから男性のシンボルにそっくりな巨大岩がむっくりと現れたのです。

 

浪速からの帰路、大島に立ち寄った船頭たちはこれを見てびっくり仰天。さっそく祠をつくり男性のシンボルの模型を奉納して姫の霊を慰めました。

 

当時大島は避難港でしたので、風よけや潮まちにこの島に立ち寄った船頭たちは模型を奉納して海上航路の安全を祈ったのです。 

 

 

 

 

 

  「 沖の大島姫神様は
      

         通う船路の守り神 」  (野口雨情)